近年のサイエンス研究で、髪の毛を生やす毛包幹細胞の維持には17型コラーゲンが大切であるという研究結果が発表されました。17型コラーゲンは髪の毛が生える毛母細胞への活性化シグナルを発信する事は育毛業界では浸透している内容ですが、その17型コラーゲンを産生できる「マジョラムエキス」が今注目されています。体内で生成する事が必要な17型コラーゲンとマジョラムエキスの関係を説明していきます。
1、マジョラムエキスとは?
マジョラムは、シソ科の植物。ヨーロッパなどでは古くから民間治療などで活用されてきました。
マジョラムエキスは、マジョラムの葉から抽出されるエキスです。その効果から、スキンケア用品やヘアケア用品に配合されることの多い成分です。
2、マジョラムの効果とは?
マジョラムは、スキンケアに対する効果と、ヘアケアに対する効果が研究されています。
①スキンケア効果
スキンケアにおいては、保湿のために使われることの多い成分です。
また、コラーゲンの産生促進や炎症のケアなどの働きも期待できます。
②ヘアケアの効果
ヘアケアにおいては、育毛のために使われることの多い成分です。
17型コラーゲンの産生促進や、5α-リダクターゼの働きに関わります。
3、マジョラムエキスと17型コラーゲンの関係性とは?
17型コラーゲンは、現時点では、体外から摂取することや注入することができないコラーゲンです。
そのため、人体がもともと持っているであろう17型コラーゲンの産生機能と、体内で作られた17型コラーゲンの維持が重要になります。マジョラムエキスは、この17型コラーゲンの産生を促進するのではないかということで、研究が進められている成分です。
4、17型コラーゲンと薄毛の関係
薄毛の原因はいくつかありますが、加齢による薄毛に関わるのが、17型コラーゲンです。加齢に伴い17型コラーゲンが減少することで、脱毛が増え、薄毛が進行すると考えられます。
①17型コラーゲンとは?
コラーゲンは、タンパク質の一種で、ヒトの皮膚や軟骨、腱を形成する大切な成分です。コラーゲンには20以上の種類があり、ヒトの体内の違った場所でそれぞれ違う働きをしています。
17型コラーゲンは、毛髪の根毛にある、バルジ領域という部分に存在するコラーゲンです。バルジ領域には、毛髪の成長に大きく影響する毛包幹細胞と色素幹細胞という2種類の幹細胞があり、この幹細胞をつなぎとめる役割をしているのが、17型コラーゲンです。
毛髪の成長は、毛包幹細胞により毛根を包む毛包が伸びることにより始まると考えられています。ところが、17型コラーゲンが減少すると、毛包幹細胞をつなぎとめることができず、毛包幹細胞は表皮の角化細胞となり、フケや垢として剥がれ落ちてしまいます。これが、17型コラーゲンの減少により脱毛、薄毛が起こる際の仕組みです。
②17型コラーゲンは摂取する事で補うことができない?
コラーゲンを補うというと、まず、食事での摂取が思い浮かびますが、そもそもコラーゲンはタンパク質なので、食事で摂ってもアミノ酸に分解され、必ずコラーゲンになるわけではありません。その上、17型コラーゲンは人工的に作ることが難しく、食事での摂取はできないのが現状です。
同様に、外部から注入することもできません。
③マジョラムエキスで17型コラーゲンを産生する事ができる?
17型コラーゲンを外から補えないのであれば、すでにある17型コラーゲンの減少を防ぐことと、体内での17型コラーゲンの産生を促すことが重要になります。
マジョラムエキスは、この17型コラーゲンの産生を促進するのに役立つのではないかと期待されています。実際に、ヘアケア用品にマジョラムエキスを配合する例が増えています。
5、マジョラムエキスで17型コラーゲンを産生する事で、薄毛の改善ができる?
17型コラーゲンを産生することで薄毛の改善ができるかは、その薄毛の原因にもよります。
加齢による薄毛の場合は、17型コラーゲン減少が大きく関わっていると考えられるようになってきたので、17型コラーゲンを産生することができれば、改善が見込めるのではないでしょうか。
一方で、男性の薄毛の原因として多いAGAや、現代人に多いストレスや生活習慣が影響する薄毛の場合は、17型コラーゲンの産生だけでは改善することが難しいでしょう。
17型コラーゲンは、薄毛改善において大きな存在ではありますが、まずは薄毛の主原因が何であるのか、それを確かめることが重要です。