男性ホルモンが多いとはげるといった話を聞いた事がある人も多いかもしれませんが、男性ホルモンが多いから薄毛になるわけではないのです。
今回はホルモンと薄毛の関係を紹介していきます。
1、ホルモンとは
ホルモンとは、人の体内で作られる化学物質のこと。人体のさまざまな働きを調整する重要な存在です。
男性と女性とでホルモンの分泌に違いがあり、男性的な体を作るホルモンを「男性ホルモン」、女性的な体を作るためのホルモンを「女性ホルモン」と呼びます。一般的に、男性でも女性ホルモン、女性でも男性ホルモンを持っていますが、第二次性徴以降は、男性は男性ホルモン、女性は女性ホルモンの分泌の方が多くなります。
この男性ホルモンと女性ホルモンは、薄毛にも関係があります。
①男性ホルモンの働き
代表的な男性ホルモンは「テストステロン」です。テストステロンは、筋肉質な体を作ったり、発毛を促したり、男性的な体作りを促す働きがあります。生殖機能にも直結しています。
②女性ホルモンの働き
代表的な女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。この2つのホルモンは、女性的な丸みを帯びた体作りを促す働きがあります。また、生理の周期や妊娠・出産にも大きく関わるホルモンです。
2、男性と女性で薄毛対策は違う?
ホルモンが関わる男性の薄毛は、男性ホルモンのテストステロンの働きが関わっている「男性型脱毛症(AGA)」です。一方、女性は、エストロゲンが減少することで薄毛になることがあります。ホルモンが原因の薄毛では、男性と女性とで対策が異なります。
男性の場合、テストステロンが多いからといって即薄毛になるのではなく、やや複雑なメカニズムがあります。そのため、専門的な治療や育毛剤、発毛剤が対策のメインになるでしょう。女性の場合は、ホルモンバランスを整え、エストロゲン不足を補う対策がメインになります。
3、女性の薄毛対策はホルモンバランスが重要だった?
ホルモンが関わる女性の薄毛は、基本的にホルモンバランスの乱れから起こります。
①女性の薄毛対策はホルモンバランスを整える事が重要
ホルモンが関わる女性の薄毛は、ホルモンバランスの乱れ、特にエストロゲンの減少が主な原因です。普段の生活で、ホルモンバランスが乱れる原因としては、次のようなことが考えられます。
②女性ホルモンが乱れる原因5選
女性ホルモンの分泌をコントロールしているのは脳の視床下部です。視床下部は自律神経をコントロールしている場所でもあり、自律神経が乱れるようなことはそのまま女性ホルモンの乱れにつながりやすくなります。
1、食事
偏った食事、不規則な食事を続けていると、女性ホルモンバランスが乱れやすい状態となります。ファーストフードやインスタント食品など、化学合成物質を多く使っている食品は、特に避けたいところです。
2、ダイエット
過度な食事制限、ハードすぎる運動は、女性ホルモンバランスの乱れを招く可能性があります。食生活や生活習慣の乱れよりも、短期間にホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があるので注意しましょう。
3、睡眠
睡眠不足が続いていたり、睡眠の質が悪かったりすると、女性ホルモンバランスが乱れやすい状態となります。
4、冷え
体の体温が低い人、夏でも冷えがひどいような人は、血流など体の巡りが悪く、女性ホルモンバランスも乱れやすい、あるいは乱れがち状態です。
5、ストレス
慢性的なストレス、過度なストレスは、自律神経にも影響を与えますが、女性ホルモンバランスに対しても悪影響です。
③女性ホルモン(エストロゲン)のバランスを整える方法4選
女性ホルモンのバランスを整える方法としては、次のような方法があります。特に、薄毛に関わっているエストロゲンの分泌を整えることが重要です。
1、食生活
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルのバランスが摂れた、良質で規則的な食生活は、体の状態を整える基本です。当然、女性ホルモンのバランスを整えるためにも有効です。
一般的に、女性ホルモンのバランスを整えるために効果的とされているのが、大豆製品です。これは、大豆に含まれる成分であるイソフラボンが、エストロゲンと似た働きをするためです。他に、黒ゴマやひじき、マグロやカツオ、ナッツ類も、女性ホルモンの分泌をサポートすることが期待できます。
ただし、一つの食品を大量に摂ることは逆にホルモンバランスに悪影響を与えかねません。バランスの良い食事を心がけながら、これらの食品を自然に摂り入れるようにしましょう。
2、リラクゼーション
心身をリラックスさせることで、ストレスの解消はもちろん、睡眠の質の向上、血行促進なども期待できます。女性ホルモンのバランスを整える方法としては、ヨガやリンパマッサージ、アロマテラピーなどがおすすめです。
3、睡眠
まずは睡眠時間をきちんと確保すること。そして、睡眠環境を改善しましょう。就寝前に胃腸に負担になるような食事を摂ることや、飲酒は避けたいところ。スマホ画面を見ることもよくありません。
睡眠環境を向上させる方法としては、ぬるめのお湯に浸かること、軽いストレッチ、ノンカフェインのハーブティー、アロマオイルやお香などリラックスできる香りがあります。寝具や寝間着は、肌触りが良く吸湿性にすぐれがものを選ぶと良いでしょう。
4、運動
適度な運動は、血行促進など体の機能を向上させ、睡眠の質を上げてくれます。とはいえ、急にジムに通ったり、マラソンを始めたりする必要はありません。早足で一駅あるいたり、階段を使ったり、日常生活の中にこまめな運動を取り入れ、継続するようにしましょう。日頃少しずつ体を動かしておき、早く帰れる日や休日には、まとまった時間を取って運動するのもおすすめです。
4、男性ホルモンと薄毛の関係
男性ホルモンと薄毛といえば男性型脱毛症(AGA)です。
①AGA(男性型脱毛症とは?)
AGA(男性型脱毛症)は、思春期以降の男性に起こる、頭頂部や髪の生え際から進行する薄毛。
AGAには男性ホルモンのテストステロンが大きく関わっています。
②男性ホルモンは減らしても意味なし
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが関わる薄毛ですが、男性ホルモンを減らしたからといってAGAにならないわけではありません。
AGAの仕組みとしては、テストステロンが5αリダクターゼという酵素により「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化、このジヒドロテストステロンが髪の毛の成長を阻害する働きをすることにより、薄毛が進行していきます。
つまり、男性ホルモンが多くても、ジヒドロテストステロンに変化して働かなければ薄毛になることはありません。逆に男性ホルモンを減らしても、ジヒドロテストステロンへの変化が起これば、薄毛は進行する可能性が高くなります。
③5αリダクターゼ抑制を重要
上記の仕組みから、根本的にAGAの薄毛対策をするには、男性ホルモンのテストステロンをジヒドロテストステロンに変化させないようにする必要があります。それには、変化の原因となる酵素の5αリダクターゼ抑制の抑制が重要です。
5、5αリダクターゼを抑制する5つの方法
5αリダクターゼを抑制するためには、次のような方法が考えられます。
①5αリダクターゼを抑制する栄養を取る
5αリダクターゼを抑制する成分として有名なのが「プロペシア(フィナステリド)」です。これは医薬品なので、医師に処方してもらう必要があります。大きな効果が期待できますが、その分、副作用が出る可能性もあります。
医薬品ではなくサプリメントでは、ノコギリヤシや亜鉛を配合することが多くなっています。また、これらの栄養を吸収しやすくするため、また、髪へ必要な栄養として、複数のビタミンやミネラルも一緒に配合されます。
②ストレスを緩和する
過度のストレス、慢性的なストレスは、男性ホルモンの分泌を促進すると共に、5αリダクターゼ抑制が期待される亜鉛を消費してしまいます。日頃からストレスをため過ぎないよう、ストレスの緩和を心掛けることで、薄毛対策が効果的にできるでしょう。
③飲酒を控える
アルコールを摂取すると、5αリダクターゼ抑制が期待される亜鉛を消費してしまいます。飲み会などは仕方ないにしても、毎日飲酒をすることは避け、飲酒の回数を減らすようにしましょう。
④喫煙を控える
タバコを吸うと体内に活性酸素が大量発生します。そして、活性酸素を分解するために、5αリダクターゼ抑制が期待される亜鉛が消費されます。薄毛対策をするなら喫煙は絶ちたいところ。
タバコを吸うことで、血行不良を招いたり、有害物質が体に悪影響を与えたりと、薄毛対策の大敵です。
⑤5αリダクターゼを抑制する育毛剤を使用する
薬やサプリメントのように飲むだけでなく、外から対策ができるのが「M-034」という成分の含まれる育毛剤です。また、「M-034」よりは効果が弱くなりますが、「オウゴンエキス」も同様の効果が期待できます。ここまで紹介してきた方法を試みつつ、同時にこれらの成分を含む育毛剤を使うとより効果的です。
ホルモンが多いから薄毛になるのではなく、ホルモンのバランスが崩れる事で薄毛になったり、ホルモンと酵素が結びつく事で生成されたジヒドロテストステロン(DHT)が、毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつき、髪の毛の正常なサイクルを狂わせてしまうのです。
男性ホルモンを減らすのではなく、脱毛のシグナルがでる酵素を抑制する対策をする事で、副作用も起こさず、薄毛の改善が期待できます。